ネットにおける中傷は、今や、場合によっては裁判にまで発展する可能性がる、ネット社会においても極めて深刻な問題です。企業経営者がネットの中傷を軽んじ、その結果、裁判を行い、僅かな損害賠償と引き換えに、今まで培ってきた信用を失う・・・という事象も、決して珍しい話ではない時代になってきたのです。今や、テレビや雑誌・書籍などの媒体を凌ぐほどの規模に成長したネットは、日常生活においても情報発信・情報収集の基盤となりつつあります。そういった環境において、ネットにおける中傷を軽んじ、対策を怠ることというのは、「どうぞ中傷してください」と言っているようなものではないでしょうか。
もちろん、企業と言う営利組織は、上場していれば株主、そうでなくとも社員や関係者への責任があるわけですから、情報発信において慎重に行っていることは言うまでもありません。ネットが普及していない時でも中傷はありましたし、裁判もあったわけです。ですから、そういった中傷への対策を全く行っていないわけではない筈ですが、ことネットというと、どうしても勝手が違うというのが、今、ネットの中傷や噂話で頭を悩ませている原因のひとつではないでしょうか。
その理由のひとつは、ネットの特性である「拡散と拡大」にあります。たったひとりの発信者の、たった一言のつぶやきが、あっという間にネット上へ広がり、それが真実でない根拠のない情報にも関わらず、拡散する過程で、さも真実のように変貌してしまうのは、ネットならではの現象だと言えます。これがテレビや雑誌であれば、そんなことは許されません。確たる証拠もない情報を、読者や視聴者に提供することは、信用につながるわけですから。
そう考えると、ネットの情報発信は「責任」や「信用」が希薄という傾向があるのかもしれません。そのため、こうしたネットにおける中傷が普遍化し、告訴・裁判・逮捕などのような犯罪にまで発展した案件が出ているのではないでしょうか。
ただし、被害を受ける側としては、その現象を手をこまねいて見ている訳にもいきません。情報発信者に悪意があろうとなかろうと、ネットの魔力が真贋を惑わせてしまうのであれば、それをコントロールできるテクニック・ノウハウを持たなければならないでしょう。しかし、なかなかそういった対策にリソースを割くことができないのも事実。
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